今までは離散分布だけを扱ってきました。
ここでひとつ、幾何分布を連続化させてみましょう。
というのも、幾何分布の意味するところは「何かが起こるまでにかかる回数」なわけですが、
これを「何かが起こるまでにかかる時間」とするのはかなり有意義そうだからです。
まず、幾何分布は、
$$ Pr(X=k) = p q^{k-1}$$
で、期待値と分散は、
$$ E[X] = \frac{1}{p}$$
$$ Var[X] = \frac{q}{p^2}$$
となりましたね。
ここで、時間確率変数 T を微小量 $\Delta t$ を用いて、$T = \Delta t \cdot X$ と定義しましょう。
そうすると、幾何分布はtと $\Delta t$ で書き換えられて、
$$ Pr(T=t)= Pr(\Delta t \cdot X = t) = Pr(X = t/\Delta t) = pq^{(t/\Delta t) -1} $$
となります。ここで、Tの期待値を求めてみると、
$$\mu = E[T]=E[X\Delta t]=\Delta t \cdot E[X]=\frac{\Delta t}{p} $$
となります。
次に、p を $\mu$ で表すと、
$$p = \frac{\Delta t}{\mu}$$
となります。これを先ほどの分布の式に代入してやると、
$$ Pr(T=t)= \frac{\Delta t}{\mu}~\left(1-\frac{\Delta t}{\mu}\right)^{(t/\Delta t) -1} $$
さて、連続分布なので、確率密度関数を
$$f(t) = \frac{Pr(T=t)}{\Delta t}$$
で定義すると、
$$ f(t) = \frac{1}{\mu}~\left(1-\frac{\Delta t}{\mu}\right)^{(t/\Delta t) -1}\\
= \frac{1}{\mu (1-(\Delta t/\mu))}\left( \left(1-\frac{\Delta t}{\mu} \right )^{-\mu/\Delta t}\right)^{-t/\mu} \\
\xrightarrow[]{\Delta t \rightarrow 0} \frac{1}{\mu}\cdot \mathrm{exp}(-t/\mu)$$
この最後の式、
$$f(t) = \frac{1}{\mu}\cdot \mathrm{exp}(-t/\mu)$$
は指数分布といい、もちろんのことながら、「何かが起こるまでにかかる時間」の確率分布です。
期待値と分散は(導出は練習問題としましょう!)
$$ E[X] = \mu $$
$$ Var[X] = \mu ^2 $$
さらに、指数分布も幾何分布と同様、無記憶性を持っています(これも練習問題としましょう)。
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